ドル/円相場は、78円台前半まで値位置を切り下げる展開になっている。不安定なリスク投資環境が続いていることに加え、米金融緩和期待が高まる中、ドル売り・円買い圧力が継続している。2月14日以来のドル安・円高水準を更新している。
6月1日に発表された5月米雇用統計では、非農業部門就業者数が前月比+6.9万人となり、市場予測+15.0万人を大きく下回った。4月に関しても、速報値の+11.5万人から+7.7万人まで下方修正されており、2ヶ月連続で雇用者の増加幅が10万人台を割り込んでいる。雇用の増加傾向そのものに変化はないが、雇用市場が急激な減速傾向にあることは否めず、金融政策面での対応を迫る動きが強まり始めている。実際に直ちに追加緩和策が導入されるのかは不透明感が強く、今週は7日のバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言などを見極める展開になる。ただ、このまま金融経済環境のリスクが過熱すれば、いずれかの時点で追加金融緩和さkが求められる地合に変化はない。ドルの本格上昇シナリオを描くことは、一段と難しくなっている。米長期金利は連日のように過去最低を更新しており、金利面でもドル安・円高基調が支持されている。
欧州債務問題に関しては、特に目立った進展が見られない。6月17日のギリシャ再選挙待ちのムードが強く、積極的に仕掛けるような動きは見られない。5月31日にアイルランドで実施された国民投票では、欧州連合(EU)の新財政協定が承認されるも、特にこれを手掛かりにユーロを買い戻すような動きはみられず、ドル/円相場に対する影響も限定されている。ただ、株安・商品安傾向に歯止めが掛からない中、円高優勢の相場環境に変化はないだろう。
今後1週間の予想レンジは、77.00~78.75円。